中橋愛生 / 遮光の反映 ~吹奏楽のために


Nakahashi, Yoshio / Reflections from Shaded Lights - for Symphonic Band -


吹奏楽コンクールでの演奏記録

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作品情報

作曲者: 中橋愛生
作曲年: 2001年
演奏時間: 8分
編成:
初演: 2001年08月05日 烏山卓 指揮 長崎市民吹奏楽団
アルカスSASEBO(佐世保市)
長崎県吹奏楽コンクール
出版社: ブレーン
委嘱者: 長崎市民吹奏楽団
解説: 太陽光のように色を感じさせない光を白色光と呼び、波長別に分けられた(分光された)、色を感じさせる一つ一つの光を単色光と呼ぶ。ニュートンの実験ではプリズムによって分光した単色光をさらにプリズムによって再合成すると、元の白色光になるという結果を得ている。これからわかるように、白色光は複数の単色光の合成なのである。吹奏楽を構成する個々の音色を単色光として捉え、それによる減法混色・加法混色の試み。または補色残像現象の模倣。(以上、プログラムノートより)


長崎市民吹奏楽団委嘱作品。委嘱・作品成立の経緯および作品データについてはここをクリック。また、アナリーゼと参考音源をこちらのサイトに載せてあります。


プログラムノートだけみるとスペクトル楽派みたいな書法に感じられるが、上記はイメージのみで構成法は全く異なる。「吹奏楽の編成の不確定性」と「演奏の再現性」という問題に対する一つの私なりの結論の実践(この方法論についてはコラム「作曲にあたっての新・編成組織方法の提案」を参照のこと)。また、「職業演奏家ではない人々でも無理なく行える特殊奏法」というものの使用も強く意識した。結果として、あまり普通の吹奏楽曲では耳にすることが少ないような響きが得られたのではないかな、と思う。しかし、これはまだオーケストラなどでは普通に聴かれる範囲内であることは否定できない。まだまだ多くの可能性が残されていることは作曲の段階でも少々感じていた。


ところで、この作品を初演する団体の団長さんが、この曲に関してあるコメントをされた。それは、この曲はこれ単独ではない、もっと大きな作品に繋がるものではないのかと感じる、というようなことだった。このコメントを聞いたとき、正直ドキッとした。実はこの曲は、別に構想しているプロフェッショナルな吹奏楽団のための一切の制限を廃した芸術作品としての吹奏楽曲の音楽要素を整理・凝縮することから曲の基盤を構築したからだ。さて、この曲から私の音楽観にどのような展開がもたらされるのか、楽しみである。


完成は2001年5月。初演は2001年8月5日に佐世保市、アルカスSASEBOで開催された長崎県吹奏楽コンクールにおいて長崎市民吹奏楽団によった(金賞を受賞)。演奏時間約8分。なお、この作品は同楽団指揮者の烏山卓氏に献呈されている。


また、2004年3月14日に行なわた「第七回 響宴」において龍谷大学学友会学術文化局吹奏楽部(指揮:若林義人)によって再演され、ライヴ録音のCDがブレーンから発売されている。

主な音源

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