金井喜久子(Kanai, Kikuko)


(1906 - 1986)

沖縄・宮古島生れ。彼女の実家・川平家は琉球王朝の芸能奉行をつとめた名門で、喜久子も沖縄第一高等女学校在学中に洋楽に興味を抱き、周囲の猛反対を押し切って1927年、中野音楽学校声楽科に入学、その後東京音楽学校にも進み、下総皖一、呉泰次郎、尾高尚忠、平尾貴四男らに師事した。なお呉泰次郎は、オーケストラを雇い、弟子が書いた管弦楽作品を自分で指揮させ、オーケストラの作曲を体得させる、という当時としてもかなり進歩的な教授法を行っており、金井喜久子も習作「交響曲第一番ハ短調」を指揮した(演奏:中央交響楽団)。その時の記録録音はCD化され聴くことができる。習作の交響曲こそドイツ・ロマン派の作風だったものの、その後彼女は「沖縄国民楽派」とも言うべき、沖縄の伝統音楽を基調とした作品を発表していく。戦後は小山清茂、渡辺茂、平井康三郎、山本直忠(山本直純の父)、石井五郎らと作曲家集団「白涛 (はくとう)会」を結成したり、アメリカMGM映画「八月十五夜の茶屋」の音楽を手がけたり、バレエ、オペレッタの作曲など旺盛な創作活動を行う。12音技法による作品もあるがほとんどが沖縄音階、リズムへの愛着がにじみ出た美しくダイナミックなものである。代表作に「梯梧の花咲く琉球」、バレエ音楽「宮古島縁起」、オペラ「沖縄物語」、てぃんさぐの花変奏曲(フルート)、琉球舞踊曲「月夜の乙女たち」(ピアノ)、歌曲「じんじん」(レコード大賞童謡賞)など。なお、ひめゆり平和祈念資料館の建設にも尽力した。(参考文献:CD「母と子の沖縄のうた」(King Records)ライナーノート他)

吹奏楽作品

作品名作曲年演奏時間出版社
沖縄ラプソディー0ビムス・エディションズ
沖縄典礼風《飛翔(はばたき)》序曲0ビムス・エディションズ

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