毛利蔵人(Mori, Krodo)


(1950 - 1997)

兵庫県芦屋市生まれ。戦後生まれの彼にとっては、これより上の世代が敬愛し学ぶべき対象と考えていたヨーロッパの古典音楽は、街に溢れているロックや歌謡曲と同じような位置にあるものとして映ったという。中学校に入学したばかりの頃にラジオで放送された三善晃の「交響三章」に決定的な影響を受け、中学3年よりピアノを独習。東京都立西高校時代は弦楽合奏クラブに入部。2~3ヶ月の独習でヴィオラやチェロを弾くようになる。この頃既に作曲を志していたが、音楽大学に進もうとは全く思わなかった。音大受験の為の勉強が無意味に感じられたからだという。独学で出発した彼の唯一の師は三善晃であった。習作を見てもらったり、オーケストレーションを学んだりしたが、最も精神的な面で影響を受けた、と自身語っている。彼の音楽の特徴は、音そのものがもっている生命力―それも生理的な側面ではなくてエモーショナルな側面を重要な推進力にして展開される響きの世界、という風に表現できる。情緒的な響きをもち、かつ個としての音の重みは確固たる位置を占めているのである。また現代音楽の演奏集団「アンサンブル・ヴァン・ドリアン」に参加するなど、作曲家として積極的に行動に移すべきとの考えも示した。残念なことに、若くして病気で亡くなっている。代表作に1973年音楽コンクール3位入賞した「弦楽四重奏曲」、現代の音楽展‘78で初演された「トリモルフィスム」、言葉の持っているリアリティが興味深い展開をみせた混声合唱曲「ひとりね―閑吟集より」、オーケストラ曲「GROOM IS GLOOMY」など。ちなみに毛利蔵人は筆名であり(もうりす・くろうど)、これは彼がラヴェルと、ドビュッシーを尊敬していたためつけたもの。

吹奏楽作品

作品名作曲年演奏時間出版社
シュアリー ユーアー ジョーキング0

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