岩河三郎(Iwakawa, Saburo)


(1923 - )

富山生まれ。1947年東京音楽学校(現・東京藝大)声楽科卒業。その後作曲に転じ、平井康三郎、池内友次郎に師事。同年NHK「夕べの音楽」にて「フルートとピアノのためのプレリュード三章」を発表、以後NHKを中心に、放送・レコード関係の作編曲を手がけ、「日本童謡協会」理事、詩と音楽の会演奏委員、山口大学教育学部教授などを歴任した。経歴からも想像が付くように合唱曲など声楽を伴うものが圧倒的に多い。例えば、1954年NHKホームソング部門で入賞、1957年オペレッタ「赤いろうそくと人魚」を手がけ、1966年にはNHKの学校放送「ひる休みのおくりもの」で混声三部合唱曲「一日に何んども」が委嘱作品として放送初演された。この曲は、録音の時に演奏の東京放送合唱団のメンバーが涙しながら歌ったというエピソードがあり、感動的な名演であった。この成功以後、小学生や中学生向けの曲を数多く作曲することになる。作風はきわめてオーソドックスで、いわゆる<現代音楽、前衛音楽>的なものを嫌い、メロディを重んじ、人間の心に自然に入り込め、感情を揺り動かし、みずみずしい感動的な音楽を生み出し続けている。また合唱に於いて、その「全パートにわたって日本語のシラブルに忠実な音楽を創る」という手法に通じている。具体的には、ソプラノが上行したときにバスが日本語の抑揚に反して下行する、というような事は合唱曲の中では非常に多いが、彼はこれをしないで曲を創り上げる作曲技法が卓越している。これらの高い音楽性と親しみやすさから、小中学校の合唱で岩河三郎の曲を歌わないところはないだろう、というほど盛んに歌われた時期もあり、無論現在でも愛唱されている。上記の他代表作に「富山に伝わる三つの民謡」(管弦楽と合唱)、女声合唱組曲「お台所のうた」、少年少女合唱組曲「祭りと子ども」、「アイヌに捧げる小さなレクイエム」、「石仏」、「木琴」(いずれも合唱曲」など多数。童謡の編曲にも佳作が多い。

吹奏楽作品

作品名作曲年演奏時間出版社
サンライズ・マーチ1981全日本吹奏楽連盟
バンドのためのエッセイ「旅する者のバラード」0
吹奏楽のための音詩《冬山に逝ける若者への祈り》1968カワイ出版
吹奏楽のための《劇的アラベスク》
北海の大漁歌19794分30秒全日本吹奏楽連盟
吹奏楽のための音詩《南極点への序曲》19686分全日本吹奏楽連盟
交響組曲《富山に伝わる三つの民謡》
組曲「かくれ切支丹」0
行進曲《虹と雪》0
吹奏楽のための音詩《雪国に聞える夜の歌》1977

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